INTRODUCTION

2017年 約22分 自主作品

【ストーリー】

溺れ死ぬ時を逃し、老いたナルキソスの行く末は ―

ゲイでナルシストの老絵本作家・山崎(田村泰二郎)は老いて醜く衰えゆく自分の姿に耐えられない。山崎はある夜、若く美しい男性レオ(高橋里央)に出会う。プレイ中に倒れた山崎は老いの苦しみを打ち明けるが年若いレオには響かない。鏡に映る自分の姿を見続けるために山崎は自傷的な行動に走ってゆく。

【企画意図】

現在、自分とは違うものを嫌悪し拒絶する空気が世界中に蔓延しているように感じます。それは日本も例外ではありません。なのでこの作品ではあえて「自己愛に溺れるナルシストかつゲイでマゾヒストの老絵本作家」という社会のどのクラスタからも分断されているような人物を通して、誰もが感じる普遍的なテーマである「老いへの恐怖」や「若さへの憧憬」「性への渇望」を描きました。そうすることでセクシャリティや性癖が自分と違っていても、人間はみな同じように心を持ち、悩み、愛する生き物なのだという事がより鮮明に伝わると考えました。それらのテーマを表現するにあたり、主人公の老人は性的指向/嗜好に関係なく社会的性格の持ち主として描く、SMやスパンキングなどの行為を滑稽なものビザールなものとして過剰に演出しない、といった点に留意しました。この作品が少しでも私たちの社会の多様性の理解につながり、拒絶の壁を取り払うきっかけになれば嬉しいです。

東海林 毅(脚本・監督)